2010年6月8日火曜日

ライネケの冒険 海からの贈り物2

5月末の日曜日、海に出たライネケは、海の神さまに、買ったばかりのクロックスもどきのサンダルを片一方だけ、供物に差し上げた後、ちょっとだけ真顔になって、人間の存在と人生の意義につき、意味論的、老荘的、実存主義的、ヘラクレイトス的、ソポクレス的省察にふけったばかりなのだが・・・。

それも束の間、翌週末、またまた懲りずに海に出た。ライネケは、白猫ロナ並に忘れっぽいのだ。

土曜日にヨット遊びをするなら、週明けには、疲労が回復しているだろう、とも思うのだが、年とると、疲労は、翌々日以降に遅れて出るという。昔、老ライネケが言っていたな。70歳を過ぎれば、こうして座って息をしているだけでもしんどい、だって。まあ、あの人は意外にもろかったからね。反対に、70過ぎてもえらく元気で、もういい加減、年寄りらしく若者の邪魔にならないように、隅っこでそっとしてればいいのに、と思うお爺も多いよ。

土曜日午前の外来が一段落して、風が吹いていそうだったら、昼休みに、車庫のアクアミューズを車に積んでおき、外来が午後3時に終わると、さっと着替えて、ぱっと飛び出すわけだ。遊びのためなら手段は選ばん。


とにかく、6月5日土曜日、午後3時半には出かけ、4時くらいから、海上に出て、漂ったり、流されたり、帆走したりして、5時半には着岸して、帰り支度を始めた。
太陽が低くなりつつある波打ち際で、ひっくり返した舟の砂を洗い流すために、海に立ちこんで、前回、辛くも回収したバケツで潮を汲んでいると、波間に何かが浮かんでいる・・・。

白いおなかを上にした魚らしい物体が、ばちゃくり、ぼちゃくりと動いている。

なんでも面白そうなものなら、片っ端から拾って帰るライネケ少年は、早速バケツですくってみた。バケツをはみ出すくらいのえらく背びれの立派な黒いうろこの魚。おなかがふくれて、大分弱っているようだ。

これは、サンダルをお召し上げになった海の神様が、日頃から、心がけのいいライネケに、ご褒美を遣わされたのかもしれん。是非とも、もって帰らなければ。

帰宅すると、ヨットの後始末は後回しにして、早速、ネコパコを呼んで、海神様の下されものを検証した。
これは、く、黒鯛ではないか。長さ35センチ。重さ800グラム。小振りだが、まだ生きている。ぜひとも、刺身やバター焼きにして、滋養をつけなさい、とのたまわす海神様の声が聞こえる。

しめて、血抜きする。なんでも、獲れたら、すぐ、背骨を断ち切り神経を殺し、海水の中で、血を抜いてしまうのが大切だそうだ。
まず、エラブタの上の肩の辺りのウロコをこそげて、そこから包丁を入れ、一気に真ん中の太い骨まで切り込み、神経と大血管を切断し、血を出し尽くす。ついで、尾びれの前あたりに切り込みをいれ、そこの神経を切断する。脊椎損傷、大出血、DOA(Death on arrival) & DNR(Do not resuscitate )だな。

ネコパコは、最近、友の会の集まりで、某魚料理屋さんの指導による、魚のさばき方の実習を受けて来て、兜割りの3回目のおさらいになる。大分上手になったみたいだ。本ブログ2010年3月分を参考。
注文は、ロナには刺身、ライネケにはバター焼き。
愛媛に帰って来てみると、倉敷時代より魚が美味しい。柑橘類も豊富だし、肉類だって、岡山より安いし、うまいと思う。岡山のマスカットや白桃は、立派だし、美味しいけれど、高価過ぎて、贈答用にしかならない。愛媛でも地元は随分努力して、ブドウも桃も安価でおいしいよ。確かに倉敷には文化の香りがあった。それが懐かしいと言えばそうなのだが、贅沢を言えばキリがない。

いただきます。

帆走もいいが、沖合で、潮に揺られながら、釣り糸を垂れるのもいいかもしれん。

FINE

7 件のコメント:

sorneko さんのコメント...

素晴らしい!

うむ,腹減った.
僕も昼飯を食べにいこう. がま

匿名 さんのコメント...

<ネコパコ>

龍神様?

いつもうちの亭主がお庭で遊ばせて頂きましてありがとうございます
このたびは思いもかけぬお土産付きで、お還し下さいまして誠に、いたみいります
今後とも性懲りも無くはしゃぐ事もあろうかと思いますが、どうぞちょっと怖い思い程度のお仕置きをたまにしてやってくださいませ

匿名 さんのコメント...

でら贅沢!

短大時代、寮の食堂で出る魚を深海魚と呼んでいました。
頭と尻尾を見た事が無く、いつも白身だから。

瀬戸内の魚はやっぱり美味しいよ。
鮮度が違うもんなあ。

chica

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
同じ瀬戸内でも、岡山の魚はそれほど美味いと思わなかった。倉敷は、下津井から魚がやってくる筈だけど、はっきり言って、全然うまくなかった。岡山倉敷の人は怒るだろうけど、ひいきで言うんじゃなくて、やっぱり愛媛の方がうまいよ。それに安いよ。

匿名 さんのコメント...

<ネコパコ>
安いばかりか、このようにたまにはドラマもあり、面白いですね

重信川の河口では春に浅蜊が採れ、しかも河口南側の松前寄りの方が、泥が少なく美味しい
時間と労力さえあれば、今夜の晩ご飯のおかずをちょっとそこの海まで…が可能です

魚が美味しいと思うようになったのは、年齢的なものもあるかもしれませんね

kurashiki-keiko さんのコメント...

ほえ~、バケツでチヌ(下津井漁師は黒鯛のことをそういいました)がすくえたなんて、奇跡みたい。
奥様もすっかりさばき方がお上手になったみたいで。ほんとうに竜神様のきまぐれでしたね。ほんと、倉敷より松山のほうが絶対魚介類も果物も安くて鮮度がよくてよさそう。

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
kurashiki-keiko様、こんばんは。
当地でもチヌと言います。
でもね、やっぱり弱って打ち上げられ寸前のところの拾い物ですから、とれたてピチピチという感じじゃなかったですよ。でも、うちの男の子たち(例の二人組です。)が倉敷川で捕って来てくれた鰻は最高でしたよ。
今でも、倉敷があまり魚が美味しくなかったのが、不思議です。同じ瀬戸内海でも、場所により違うのでしょうかね。