2009年5月15日金曜日

「石の上にも三年」 <ライネケ院長>

院長より、当ブログに見えられた方々に、一言、ご挨拶申し上げる。

 当ブログは、松前町という愛媛県の片田舎の町で、ちょうど三年前、皮膚科の診療所を開設した満58歳の医師の偶感である。私たちのささやかな診療所もちょうど満3歳になり、今から、4歳目を歩み出したわけだ。

 ページの更新は、院長が主にするのだが、時に、その家族が、勝手にすることも多い。ページにより、時に、感触が変るのはそのせいでもある。一見、家族通信板のようだが、それだけを意図したものではない。勿論、子ども達に私の何かを伝えておきたい、という気持ちは強いのだが、実は意図も何もないと言えばないのである。

 どうか、ご覧になって、何か感じられたなら、どうぞ遠慮なく、コメント欄に一言残して行っていただきたい。歓迎する。
                        2009.05.17

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  「石の上にも三年」

冷たい石の上でも三年座り続けていれば、暖かくなるから、何事にも辛抱が大切だって云う事なんだそうだ。

開院してまる三年経った。三年間、辛抱という程のこともなかったし、冷たいと思ったこともない。何と云うこともなく、楽しく暮らして来た。開院前、面接で採用した6人の従業員が、6人ともそのまま、変らない雰囲気で勤めてくれている。選択眼に狂いはおおむねなかったということだ。

三年の間に、少しは患者が増えたけど、えらくブレークしたということは全くなくて、今でも、今日はひどく暇だね、という日もある。誰しも、自分が必要とされていないのか、と思うと寂しいものだ。今では大分慣れて、余りしょげなくなった。

開院以来の週単位の一日患者平均数だ。これには、石鹸やしみとりクリームのような保険外自由診療のために受け付けた人の数も含まれるので、実際は少し減るが、最近は、このような自由診療の患者はかえって減っている。

こうして見ると、患者数は1月から4月にかけてが底で、5月下旬から増え始め、8月の盆前後がピークになり、9月から減り始める、というパターンだ。

一日患者数は一年ごとに10人余り増加しているようだ。某皮膚科開業医によれば、開院6年目まで増加し、後は横ばいになって行ったそうなので、4年目の今年は、もっと増える見込みだ。余り患者数が少ないと、元気が出ないし、第一、経営的問題が生じるのだが、増え過ぎて、余りに慌ただしいのは困る。

一日6時間の診察時間で50人も診たら、今日はみっちり仕事した、という気になる。60人なら、今日はえらく忙しかったという感じだ。昔、K中央病院に勤めていたころは、真夏の繁忙期80名くらい、真冬の暇な時期で40名くらい診ていたかしらん。その他に入院患者もいたものね。

時には、午前午後の診察時間中、診察室にずっと居て、患者さんと向かい合う日もある。朝は12時、夕は18時まで受付だけど、それぞれ、30分過ぎ以内で完全に終了して、スタッフが灯火を消して戸閉まりして帰る。

レセプトといって、各月の締めくくりには支払い基金への書類をまとめて、提出するんだが、その作業も事務方の超過勤務になったことはない。よそでは、前々日くらいから、事務方が夜遅くまで残業し、院長までカルテの整理をするとか聞くけど。まだ、患者数が少ないせいもあろうが、最初からレセプトコンピュータ一体型の電子カルテにしたのがよかったのだと思う。いろいろ意見はあるが、電子カルテは時代の趨勢だと私は思うね。

さようなら、看板くん。3年間ご苦労であった。

伊予鉄の松前駅のホームの看板と医院近くの道案内看板を除いて、国道56号沿いの野立て看板や隣の駅の看板を撤去することにした。看板代って馬鹿にならないんだ。設置する時だけでなく、撤去するにも金が要るんだって。医者仲間に訊くと、看板には、余り集客効果はないんで、あれは犬の小便みたいなものだ、っていうのだ。みんな、えらそうにそう言ってる割には、沢山立ち並んでいる。林立している。ほとんど環境破壊的だ。その仲間入りはごめんだ。だから、もうやめだ。


患者数が、少しずつ増えて来た、と書いたけれど、今日はえらく暇だよ。朝一番の外来待合室に誰も待っていない。こんな時は、さびしくないかって? 

ただの土くれの如く、価値のない、無意味な存在で居ようと思うのだ。そういう在り方っていうか、生き方がいいと思うのだ。能無しのデクノボウ。そういう心境に憧れる。自分の存在に意味がなくても、この「世界」という仮想的な空間の中で、ゆるがず、静かに、孤立して、生きて、消滅して行く。そういう存在に。

「塊然獨立」の図
う〜む、どうも、足もとが不安だ。

「塊然獨坐」
我家の母屋の座敷に昔からある大字の横額
右から左に読むのだよ。

なかなか、そういう境地に達しない。常に自分の特殊性を、自分の意味を、価値を見つけたいと思ってしまう。こういうのを迷いというのだろうね。


とか思っていたら・・・。おや、おや、電話の子機が鳴っている。下の診察室からお呼びだ。患者が来たらしい。

「はい、はい。分かりました。今、行きます。」

では、仕事に行って来ます。

2009年5月11日月曜日

徒然雑草   chica



皆さんお元気ですか?chicaです。
ばたばたしてる間にもう早5月!

ここで一句

花粉症 どうせ過ぎても 五月病


どーん。。。。。。。。。。


気を取り直しまして、先月、仕事の為にタケノコを掘りました。

農業の危機が騒がれる昨今、地産地消ってやっぱり大事よねってなことで

江戸野菜を最近調べていたのですが、

さて、私がいる区には野菜が残っていないか?

博物館やら資料館やら問い合わせしたり

築地市場の方に協力してもらったりした結果、

千駄ヶ谷という地域のタケノコが区の野菜としては有力ではないかということになりまして

あの手、この手、猫の手、孫の手、裏の手を駆使しまして

とある神社の境内からタケノコを入手したのです。

入手したにはいいが、展示は11月の予定。

写真やら記録やらの為に灰汁抜き、調理、撮影、試食となりました。

まあ、みなさん御存知の通り、私、ちっとも家庭的ではないもんで。
。。。。。苦労したyo!!!
お品書きでございます。
1の重:タケノコご飯
2の重:右上から時計回りに


タケノコと鶏そぼろの山椒味噌和え


タケノコ焼き 醤油味山葵添え


タケノコとカブと鶏肉の炊き合わせ


タケノコとミズナのお浸し

以上でございます。
作成時間1時間半。経費その他は持ち出し。
これで企画が流れたら、呪ってやる!!!!!

                      chica

2009年5月7日木曜日

ronaの話 <ライネケ院長>

ロナは一見、目つきが悪くて、悪猫みたいだけど、草花の影を歩き回るのが好きな心優しい子なんだ。と、親は勝手にそう思ってるんだけど・・・。
孤独そうなロナなんだが、最近は、どうやら、ライバルと言ったらいいのか、時々訪問者がやってくるようになった。ロナと対照的なクロネコなんだが。うちではクロタってよんでる。

過日、にらみ合いしているロナとクロタ

昨夜は、大騒動だった。

ネコパコ事務長とインフルエンザ騒ぎでまた帰って来ているShigeと、わざわざ、桜三里を越えて、本谷温泉に入りに行った。そして夜遅く帰って来たら・・・。

玄関ドアを開けて、二階に上がって行くと、奥から出て来たのはロナではなくて、なんと、例のクロタではないか。

慌てて、追い出そうとしたら、出口が閉まっていて、再び家の中へ。とうとう、図書室に侵入し、Shigeがしめ込んだものでさあ、彼は大パニックになり、とうとう、おしっこを漏らしちゃった。

とにかく、追い出そうというので、老ライネケの愛用していたステッキを振り上げて、追い回しているうちに、キッチン台の向こうに逃げ込んで、つついても、叩いても、動かなくなってしまった。苦労して、窓を開けてやり、網戸を外してやりして、やっと御退散願った。

後に残されたのは、おしっこと悪臭、それに疲労。折角、温泉につかって気持よくなって帰って来たのに・・・。

ロナはというと、さっきのドタバタ騒ぎの間は見かけなかったのに、いつの間にやら現れて、しょぼんという感じで、おとなしくかしこまっている。。
何となく、自分にも責任の一端がある、と自覚しているらしい。
夜中も寝室で、私達の枕元の椅子の上でおとなしく寝ていた






そもそも、二人の争いは、かなり以前から、徐々に緊迫度を増していたようだ。
ある日、彼が尾っぽをたわしみたいに膨らませて帰って来た。









うちを背にして、必死で凶悪そうなクロタと対峙するロナの姿。

「こ、ここは僕んちのうちで、僕んちの敷地なんだぞ。ぼ、僕だって怒ると怖いんだぞ。」
「けっ、ああに言ってやがんでえ。白っぽくお上品にしてやがって。誰が、おめえの領土なんて決めたってんだ。お天道様の照らすところ、誰だって、好きに入って行くんでえ。おお、今日という今日は、はっきり、黒白つけようじゃねえか。」

二人の争いは、どうやら、野良の強さによるのか、お育ちによるのか、クロタの方に分があるようで、ロナはいつも逃げ腰気味なのだ。親としては、子どもの喧嘩に出て行くのは、まずいとは思うが、やっぱりね。介入してしまう。

さて、今回は、一体どこから、クロタは侵入して来たのか? 屋上の芝刈り機をドアの内側に収容していたのに、階段の踊り場まで、芝刈り機が転げ落ちていた。屋上の出口の扉の前に、黒い毛の塊が二個、落ちていた。

どうやら、ロナは、彼を追って、屋上のロナ専用の潜り戸から入って来たクロタの侵入を阻もうとしたのだろう。彼なりに必死で闘ったのかもしれん。

侵入したのはいいが、家人に見つかって、逃げ場を失ったクロタは、パニックに陥って、尿を漏らし、とうとう、追いつめられて、隅っこでちぢこまるしかなかったのだな。半野良ながら、彼も「おうち」が欲しかったのだろうか。それを思うと可哀想だ。

追いつめて、叩いたりするんじゃなかった。ごめんよ、クロタ。
でも、うちの子はロナだけで充分なんだ。あまりうちに寄り付くんじゃないよ。