2016年12月6日火曜日

Return of Reineke   ライネケの帰還

ライネケは帰ってきた。
どこからって・・・・。話は長いんだけど。

さっさと言ってしまおう。
鼠径ヘルニアのため、愛媛県立中央病院の消化器外科に、12月1日から4日まで入院して、手術したのさ。

磁器の浅鍋ですき焼き
おまけに
ハマチとサケの刺身
11月30日水曜日、夕方、仕事が終わってみると、ネコパコが豪勢な夕食を用意してくれた。最後の晩餐というわけじゃなくて、明日からしばらく病院食だから。

左の丸いのは伊予鉄高島屋の観覧車
右寄りの山の上に見えるのが松山城
何と、病室は伊予鉄市駅の近くの10階の個室で、窓いっぱいに松山の街が広がり、正面には城山が見える。晴れてて景色はいいが、心は沈むよ。

赤丸のあたりがぷくんと出ている
左側にも、少し小ぶりだが、同様のぷくんがある
手術のために、看護婦さんに剃られちゃって、かわいそうなおいらの下腹部には、こんなふうに、左右にプックリがある。このプックリの中身ははみ出した大腸らしい。要するに脱腸だ。なさけないね。

いよいよ手術に向う。
緊張するな。
やっぱり。
入院翌日の金曜日、午後1時半、予定通り、手術場入りする。
その前には、腕には輸液路確保のための持続点滴を挿し、尿道にはカテーテルが留置される。

弾力ストッキング
昔はこんなのしなかったよね。
医学はどんどん進歩しているようだ。
さらに、両下肢には、静脈血栓や塞栓を予防するため、弾力ストッキングを履く。

手術場入り口
ピントがぼけてるのは
不安のためか?
ネコパコが付き添えるのは、ここまで。
「がんばってね。」「じゃあな。待っててね。」と、手を振りあう。

手術は、全身麻酔下に、臍の高さで臍とその左右に、合計三箇所の小さな穴をあけ、そこから、細い内視鏡を入れて、腹腔側から両側の鼠径ヘルニア付近に達して、薄い筋膜を、メッシュと呼ばれる人工の補強材で補強するというものだ。時間と手間はかかるが、侵襲が少ないのだという。とにかく、主治医のO先生を信頼して、お任せするしかないね。

病室にご帰還。
まだ、麻酔が覚めず、
この時点では意識がない。
午後4時45分、手術を終え、病室に帰ってきた。生まれて初めての全身麻酔だったが、手術中のことは全然分からない。病室に帰ってきて、しばらくして、気がついた。

その夜は、あまり眠れなかった。じっと仰臥位でいる、ということは、ひどく疲れるもんだ。動かないで、同じ姿勢でいる、というのは不自然なことだということが身に沁みて分かった。咳すると、腹筋運動をやり過ぎたあとみたいに、ひどく腹が痛み、寝返りをうとうとしても、痛くてできない。

正直、明後日日曜日に退院して、月曜日には仕事を再開しよう、なんて言ってたけど、こりゃ、とても無理、と思った。
やっと
自由になれて
本当にうれしいよ。

手術翌日の土曜日夕方までには、やっと腕の持続点滴も膀胱カテーテルも外してもらって、ひも付きでなくなった。自力でトイレまで行け、自分の意志で排尿できるって、なんて幸せなんだろうね。腕の静脈に差し込まれたプラスチックの針に無理がかからないように、腕をあまり動かさないようにしているということが、いかに疲れることか。

病院食の一例
見た目より美味しい。
三度三度の病院食は、三分粥に始まり、五分粥を経て、普通食になった。見た目はかなり地味だが、割合、しっかりした味付けで、それなりに美味しかった。それにしても、やっぱり、キャベツの煮たのは好きになれないなあ。ネコパコのご飯が食べたい。

退院の日の病棟の廊下
日曜日の朝は、閑散としている。
4日目、日曜日の午前10時、退院した。予定通りだった。
手術は無事に終わり、ライネケは、自分でルポを運転して、家に帰ってきた。

ライネケの帰還
プップー、プップー
ライネケさまのお帰りだよ。

(「ひきがえるの冒険」ケネス・グレアム作 
 訳・菊池重三郎 さしえ・山田三郎
講談社 少年少女文学全集 第10巻より)
日曜日の夜、ネコパコはライネケの好物のうなぎの蒲焼を用意してくれ、ライネケはそれを自ら、焼いて、つゆ沢山のライネケ流うなぎ丼にして、二人で食べた。

今もお腹は、引っ張られたみたいにチクチクするし、うっかり咳をしたり、急に身体をよじったりすると、ひどく痛い。しばらく腹圧のかかる動作は禁止されている。時には再発も起こるらしいし、楽観できないらしい。

だいたい元気で、自分のおうちで、自分のしたいことを、自分のしたいようにする、ということは、本当に素晴らしいよ。とにかく、かえってこれてうれしい。

     ついにきつねは帰ってきた
     居間も 広間も うし小屋さえも
     てんやわんやの大さわぎ
     そこへ帰ってきたきつね

     ・・・・・

     さけべ ばんざい 天にもとどけ
     みんなそろって 声たからかに
     われらがほこる勇士のために
     これぞ きつねのよき日なり

            (同上より、一部改変)

さあ、予定通り、明日から仕事だ。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

<ネコパコ>
「写真を撮ってくれ」とやたらに指示が多かったのですが、こうなるとは…
ちょっと露悪趣味ではないの?!…
せめて映倫なみの画像処理してほしい

心配して落ち込んだり、不安になったり…老いていく中で、お互いがいろいろに受け入れていく序章になったわね

ヒキガエル!!
懐かしい主人公の登場ですね

うちのガマはどうしているのかな
この独善と猛進ぶり
何をか言わん

ライネケ院長 さんのコメント...

<ライネケ>
露悪趣味と言われると、そうかも知れない。
でも、映倫カットするとわけがわからない画像になるので、やむを得ないと判断した。
あんなに生き生きして見えた篤さん(伊予爺ちゃん)が、六十才を越えて、急に衰えて、ひ弱になっていったのを思うと、おいらも、いつまで元気でいられるか分からないと思うようになった。

「ひきがえるの冒険」(石井桃子氏の訳では「たのしい川べ」になってる。)の主人公は、ワガママで見栄っ張りの目立ちたがりで向こう意気が強い割にはくじけやすくて弱虫なんだが、ネズミさんやモグラさん、アナグマさんのおかげで、立派な紳士になって、村の屋敷に住む旦那として生きていく、ということになってる。

ひきがえるの取り柄ってなんなんだろうね。ヒキガエルの象徴するものってなんなのだろう。

匿名 さんのコメント...

<ネコパコ>
無邪気さですよ
私はそう思う
だからひきがえるの事を誰も嫌いじゃない

悪意のいたちが乗っ取りに来たというのも
何だか寓意に満ちている気がします

sorneko さんのコメント...

うーむ。
猫箱母さんの意見に賛成かな。。。

ちなみに、こっちのがまはあんまり無邪気ではないですが。
自己中は認める。
どうだ。大人だらう。
げへこ。

kurashiki-keiko さんのコメント...

無事のご帰還おめでとうございます。
わが長男も生後7か月だったかで鼠蹊ヘルニアで入院手術し、私は離乳食係として添い寝しました。早く痛みが無くなるといいですね。
手術関連の詳しいレポートですが、私もかつて陰部のバルトリン腺の手術に至った顛末を詳しくブログアップしたところ、同病の人が参考にするのか、いまだにアクセス数が多いです。女性としては人に言えない部分の(言ってますが)困った症状であるためか、思い悩んでネット検索するのでしょうか。
こちらのサイトももしかしてそんなことにならないとも限りませんね。

ライネケ院長 さんのコメント...

<ライネケ>
kurashiki-keikoさま、
コメントいただきありがとうございます。

術後6日目の今日もまだ、うっかり、くしゃみしたりすると、おなかが痛いです。執刀医やら担当の先生は、腹圧を掛けるな、とおっしゃいましたが、むしろ、こういうことがあると、腹筋というのは、常に、あらゆる動作に際して、多少なりとも働いているのだな、と思いました。だから、気をつけるって言ったって、どうしようもないというのが実感です。もちろん、お腹をいたわってはおりますがね。

アクセスについては、当ブログはひっそりやってますし、わざと、あまり詳しくは書いてないので、大丈夫だと思います。家族連絡版みたいなものですから。