2009年3月9日月曜日

花は飛び、飛んで天に満ち <ライネケ院長>

Chikaさんの気持はChikaさんでなければ分からない。さまざまの想いが心に浮かんでは消え、消えてはまた次ぎの想いがわき起こって来て、果てしなく、迷いの道を生きているのが私たちなんだろう。

されば、我、
恋しつつ、恋を知らず、
迷いつつ、迷いを知らぬ

のが、私たちのありようなのだから。

chikaのイラスト その1
「雨降り」

傘は飛んでってるし、レインコートは何やらあか抜けせんし、足下は水溜まりだし、サイケデリックの混乱気味だな。余り、文学的というか、通常の叙情的な心理状態ではないようだね。

何かの巡り合わせで、草花を見て暮らすことになった、まだまだ若いChikaが、今まで一度も花を見せなかった植物に蕾を見つけた。そして、悲しくても、苦しくても、怖くても、それでも生きていかなければならないことだけは学んだ、と言う。

紅楼夢の「葬花」の段を思い起こした。

主人公の少女は、散り敷く桃の花びらを憐れんで、掃き集めて、自ら刺繍した袋に入れ、庭に掘った穴に埋めて葬ってやる。妙な趣味なんだが、花のお葬式なんだ。彼女は、春の空気の中で、花を埋葬しているうちに、我が身も、この世も全て移ろい、去り往くものである事が身に沁みて、覚えず、感極まって、涙を流すのだ。

花謝花飛花満天,紅消香断有誰憐?游絲軟繋飄春榭,落絮経沾撲簾。

一年三百六十日,風刀霜剣厳相逼,明媚鮮妍能幾時,一朝飄泊難尋覓。

儂今葬花人笑痴,他年葬儂知是誰?試看春残花漸落,便是紅顔老死時。

一朝春尽紅顔老,花落人亡両不知!

花はしぼみ、花は飛び、飛んで天に満つ。紅は消え、香りは断てど、誰ありてか憐れまん?

・・・・・・

一年三百六十日、風は刀、霜は剣のごとく、厳しく相迫れば,明媚鮮妍能く幾時ぞ。

一朝飄泊すれば、尋ねもとむること難し。

我、今、花を葬らば、人、痴なりと笑うも,他年、我を葬るは、是れ誰とか知るや?

試ろみに看よ、春の残花の漸やく落つるを。便わち是れ紅顔の老いて死するの時。

一朝春尽きて紅顔老い,花落ち、人亡じて、両つながら知らずとは!

と詠うのさ。美しくて、不吉な章句だ。どうして、貴女はそんな不吉なことを考えるのか? いよいよこれからといううら若い乙女が。

 

「あこがれを知るものにしか、私の悩みは分かりません。」というゲーテの詩を引用したくせに、私には、ゲーテの真意は分からない。私には、Chikaがどうして消えてしまいたいのか、理解出来ないけれど、彼女の父親なりに、不器用にではあるけれど、彼女を思っている、と伝えたかっただけなのだ。

口では、乱暴そうなことを言いながらも、やはり、結局は、父親として、漠然たるあこがれと若者らしい熱情を持って、世界というものを、愛情というのか何というのか、一種の情念の凝縮と見てご覧と言いたかっただけなのだ。

露と答えて消えてしまいたい、なんて、そうそう簡単に、消えてしまわれるわけにはいかない。私たちには生き物としての「生きる」という仕事がある。花を見てご覧よ。

思いおこせば、何度も何度も、無神経で理不尽な父親であり、あるいは母親であったろう。おのれの、何かに憧れる心を、他にも押し付けてはいけなかった、と言われれば、その通りだ。

すれ違い、誤解、言い過ぎ、八つ当たり、腹立ち、そう、あらゆる機会を逃さず、私たちは、多過ぎる過ちを犯して来た、と思う。

でも、人生はそういう過ちに満ちていて、ライネケは、もう自分の過ちをいちいち反省するのは面倒になった。また、また、やっちまった、と思うことは、今でも多いが、しょうがない、ええい、どうにでもなれ、ほおっておけ、とか言って、時間が過ぎるといつの間にか解消してくれると思えるようになった。

Chikaは、私の思いを、その時は傷ついても、やがて、私たち自身の思ってもいなかったような風に、いや、むしろ、いいように解釈し、そうして、親子の間は続いて行くだろう、と信じたい。もちろんChikaとの間だけでの話ではないよ。

振り返りみれば、夫婦の間も、親子の間も、常にすれ違いと誤解があった。

でも、それでも、二人の縁は続き、子どもは育ってくれると信じている。一生懸命、水をかけてやっても、しおれてしまう草花もあれば、ひどい条件のもとでも、いつの間にか強く逞しく成長しているものもある。

それでも、とにかく、どんな水であれ、ありあわせの水をかけてやらなければ、と思ってしまうのだ。余計なお節介だと言われるかもしれないが。

笑顔よしのChikaさんには、笑っていて欲しいものだよ。

花が笑っている、と言うじゃないか。

chikaのイラスト その2
「かび」

「紅楼夢」は長くて、しかも、空しい小説だ。でも、一読に値する。

12 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

私の悲しみは私だけのもので
父の想いは父だけのもので
母の喜びは母だけのもので
そうして
重なり合ってできた
薄氷のようなひとときの中で
私は父と母に育まれてきたことを
難しくも、嬉しく楽しく思います。
だって、こんな対話は
あの大きい食卓では生まれなかったけれども
ここにこうして存在していて
それは、普通一般ではなかなか無いことだと
知っているからです。

一輪だけついた蕾が膨らみ色づいてきました。
夜明けの空の翡翠色です。
父の名の色です。
私は幸せです。

       chica

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
オイラの名の色か。思ってもいなかったよ。自分の名前に色があるなんて。

今もそうだと思うけど、子どもが生まれると、一週間以内に名前を付けて、役所に届けなければならない。一週間で一生使うものを考えなければならないんだ。なかなか大変だよ。

オイラの名はね、老ライネケが、なかなか決まらなくて、考えながら、ある朝、スクーターに乗って往診に行ったんだって。東の空に上って来た朝のお日様の光がまぶしかった。それで、思いついたんだって。小学校の頃から、まずまともに読んでもらったことはないよ。それでもいい。満足している。

貴女の名はね。貴女は我が家の第一号だから、最初の子という意味だ。万物の元素になると。この字を辞書で調べると、「chika」という読みがあったのさ。名前をつける時は、一生使って、自分の名に誇りが持てること、余り複雑でないこと、字面と響きがいいこと、それでいて、他と区別がつきやすいことだと思うよ。

典拠があればなおいいけど。

よく、妙に凝りまわって、歓楽街の酒屋の看板やら、暴走族の名みたいな、当て字だらけの名を見かけるが、たいていは結局ありふれていて、どこかで見かけるようなものだ。犬や猫ならともかく、自分の名前を、流行歌手の名前にちなんでつけて欲しいかね。不思議だよ。

もし子どもができたら、よく考えてつけなさいね。

それにしても、夜明けの空の翡翠色か・・・。何とも微妙な色合いだな。想像がつかないが、そう言ってもらえると、うれしいよ。

夜明けの空の翡翠色。

Reineke

匿名 さんのコメント...

<ネコパコ>
4月からスタートするTの会の仕事のために、今準備中。
だんだんいい加減じゃいけないムードになって来て、自分で自分の首を絞めながら、参考資料として我が子らの育児記録を読み返しているところ。
もっとキチンと整理をしておけば良かった
何事も中途半端が私のいけない癖。
今更反省しても遅いな…
この失敗は少なくとも若いお母さん達に伝えてあげることができる。
というわけで、今の私は、ライネケから「紅楼夢を読んでご覧よ、おもしろいよ」と言われても、別世界に生きています。
chikaさんのイラストの発掘者は私だったのに、先に使われて、ちょっとプッスンですけれど、今は怒っている暇もないので、ではさらばです

匿名 さんのコメント...

研究室で真面目に(真面目に!)研究をしていたら、先輩が
「食え。一粒50m!」
といって、ハリボーなる外国製のグミをくれた。
「ありがとうございまーす。パクッ。」
が…
カパッといって奥歯の銀歯がはずれた。

その後、京都から友人が居候しにやって来て、すったもんだの挙句三日おいて歯医者へ。

「いつ外れたのぉ?」 三日前です。
「きつくなっとるなぁ」 親知らずのせいですかね…

「あっしもうた!」 げぇほっ!ゲホッ!!

銀歯は食道へ。
僕は日赤病院内科透視室へ。
「きれいに写ってますねえ。」 はぁ。
「二日もすれば出るでしょ。」 ……

しかも、歯医者のヤロウ、しっかり治療費取るし!
銀歯は作り直しだし!
いいことないよ、まったく!プン!
               sor

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
どこぞの神社に行って、賽銭を納めて、充分に祈って、一度、お祓いしてもらいなさい。

オイラの左上奥歯は、大学1年のとき、大学の診療所で、一番安いアマルガム(水銀の合金)をつめてもらった。その頃、片っ端から、親知らずというのか、埋没歯を抜いてもらったおかげで、ぱっと見には歯並びはいい。

それが、30数年後、はずれて、K中央病院の歯科でN先生に金を詰めてもらった。今の所は問題ないよ。あの時N先生にあげないで持ち帰ったはずの金をすぐどこかになくしてしまった。

今、金はえらく値上がりしている。

Reineke

匿名 さんのコメント...

<ネコパコ>
ゲロッ!またもや治療費の請求か!!

椿神社の縁起飴をくれた人がいたので食べたら、歯にくっつく、くっつく…コリャやばいと思って残りは捨てたのだけれど、私のがはずれず、君のがはずれたって訳ですね

アララ

やっぱり厄年ッてあるのでしょうか…
気をつけていても(何もやることないけれど)やな事が続くと落ち込みますね

匿名 さんのコメント...

今日、日赤病院放射線科でレントゲンを撮った。
無事、というか、なんというか、レントゲンには何にも写ってなかった。
そうか、そうかじゃあ帰ろう…と思ったら、
「歯科の先生に診てもらってください」
と言われ、またしても一時間程待たされた挙句、歯科では山本先生がレントゲンを一目見て、「無事出ましたねぇ。では八木山歯科医院で引き続き治療を継続してください」
といったきり、おしまい。

そんなこたぁ、俺でも分からいっ。

返す返す、あの時のハリボーが恨めしい。
一時の食欲に負けた我が心根の卑しさよ。
もう二度とあのような過ちは犯すまじ、今後は猛省して日々精進、「人間的完成」を目指して仙人のように暮らすのだ…
そこうるさいぞ、無理無理とか言うなぁ!

というわけで、歯の治療が長引きそうなので、今週末に仙台を発つわけにはいかなくなりましたんよ。          sor

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
正直言って、医者が患者の現実的な都合とか状況を適切に考慮して、いろいろなことをやったり言ったりしているのかどうなのか、首を傾げることってあるよ。

例えば、何か検査して何か分かったとして、それが結局患者にとって現実的にはほとんど意味なかったりすることってしばしばあるな。

IgERASTで卵に陽性に出ても、実際に卵を食べて湿疹が悪くなる場合って余りないと思うし、もし、悪くなるのなら、検査するより食べて確かめる方が直接的だし確実だろう。

よくハウスダストで陽性に出て、医者から、気をつけて下さい、って言われたって患者が言うんだが、どんな風に気をつけたらいいのかよく分からん。一生懸命掃除して、マスクして暮らせと言うのかね。一度か二度の血液検査で、はっきりした価値付けの分からない血液検査ごときの結果で、一生ややこしい暮らしを強いられるなんて、どうかと思うんだが、簡単にそういうことを言う医者がいるんだ。余程、人体とか自然を単純なものだと思ってるんだろうけど、自分の頭が単純すぎるんじゃないか、とは思わないらしいんだな、そういう医者は。

だから、君たちは、精々、野生の本能を研ぎすませて、医者に限らず、専門家先生と言われている阿呆な連中に惑わされないようにするんだな。

以上は、野良でやぶなライネケ院長よりの一口忠告だ。

Reineke

匿名 さんのコメント...

虫歯に被せたものが 外れるときは 大抵別の虫歯が出来ていて 歯と被せものの間を浮かせているものです こう見えて歯学のことには
ちと うるさい 80-20 運動は昔からの合言葉で 80歳で20本の自分の歯を 持っているべきだ というものです
ブラッシングを皆さん上手にしてください
特に右利きの人の下顎の犬歯の裏、四本の大臼歯の遠位端 歯列の1番端のこと、あと横磨きは厳禁 いずれ歯肉が上がります 歯科検診は半年に一度は行くこと

歯だけは丈夫な赤シャツより
イチロー バンザーイ

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
赤シャツ殿、お久しぶり。

今、Shigeが帰っていて、今日は、松山市内で豚カツを食べ、道後温泉に行って帰った所。

今、オイラは58才だが、歯は上14本、下13本がまだ残っている。横磨きしかしないし、歯科検診も行ってない。

80才までに、あと7本しか余裕無しか。心細いねえ。第一、80才まで生きられるのかねえ。

今週末には、兵庫のネコパコの実家まで行って、春休み帰省のSoraninを拾って帰ろうか、と言っている所。

それじゃね。

Reineke

匿名 さんのコメント...

さて…
あの憎むべきハリボーを下さった研究室の先輩が、今度は
「卒業するにあたって、フルマラソンに挑戦したい。ついてはコースを選定してくれ。」

はいはい(断れば良かったのだ。馬鹿だなあ。)

まず、仙台市内のT北大学片平キャンパスをスタートし、広瀬川を行くが行くが下る。
名取川と合流して、さらにドンブラこっことひたすら下り、仙台湾荒浜まで12kmを走り、ついで海岸沿に七北田川まで北上すること8km。これで片道。
さらに、七北田川を仙台市泉区の仙台スタジアムまで駆け遡ること10数km。ここから途中若干の勾配を含んだ最後の一辺を10km少し片平キャンパスに向かって走り、仙台市役所でフィナーレ、という獲らぬ狸の皮算用。

頑張ってくださーィ。

「なに言ってんの。一緒に走るに決まっとるだろう」

Oooh!!! ヤッパリ!

かくの如くして、走って2日経った今日も未だに両の膝関節と足首から先の間接全てが痛むというサプライズ。
ここ最近、地に足をつけて暮らしていなかったからなぁ…色んな意味で。

今年は18切符で帰るのはとても無理ムリ。
明日ヒヨって新幹線で吉川まで行きますけんね。お金ないけど。          
               ガマ狸拝
P.S;Unten Menkyo,Yatto-toreta
v(^^)v

匿名 さんのコメント...

<ライネケ>
ははっ、はっはっ、ははは!!!
わっはっはっはあああ!!!

吉川で会おう。

Reineke