2015年7月16日木曜日

エゲレス闊歩③


何を見ても素敵に見えるけど、これが日常なんだから不思議。
ジャポンを訪れた人も、ワクワクするのかしら。


逝し世の面影は、光に溶けていく。



毎日毎日、植物見てたけど、飽きなかったし幸せでした。


この花の汁の結晶に大勢の人が狂って人間家業を辞めたのよ。
普通に花壇に植えられてるから、ドキドキしたんだよ。

エゲレス闊歩②

 
 
くっきりと地面にうつった花の影。
 

 優美さとプライドに満ち溢れた鉄骨の貴婦人の如き温室。


どんなに世界が狭くなっても、エキゾチシズムを求め続ける野蛮さ。


見飽きることのない、植物の輝き。


仙人掌姉 海外逃亡を果たす①


ちょっと留守してたら、長雨だの猛暑だの台風三兄弟だの、
なにやら慌ただしい。
仙人掌姉はしばしの間、
時計の針をグリグリ巻き戻して、8時間前の時間軸の国は
湿気のない上に、台風とか無関係で一日のうちに
雨が降ったり風が吹いたり、えらく爽やかに晴れたりする
暑いのか寒いの分からない国に潜伏していたので、
ジャポンの空模様に呆然自失であります。

 
飛行機に乗って12時間。
どんなに新作の映画が見放題だとしても、食事を作らなくても供されるとしても
これはやっぱり、拷問に近いですな。
でも、耐えるしかないので黙って座ってるんだ。
そしたら到着するから。
エゲレスは、遠い処にあるのです。
 

おおーい、ドアの鉤開けてくれ。
泊めてくれーい。

 
食事へ期待感を持ってはいかんと言う事を、
賢い仙人掌は前回の経験から覚えておりました。
どれだけ
看板がお洒落であっても、
店構えが素敵であっても、
お水を持ってきたお姉ちゃんが可愛くても、
テーブルクロスが花模様でも、
出てきた食べ物には、基本的に 味が 無い んだ。
焼かれて死んだ野菜とか 例:緑色なのに植物の触感がないブロッコリー
煮られて死んだ肉とか   例:ビーチサンダルの底みたいなステーキ
そんな物質が、食卓に登場するのが日常なのです。
 
三角定規ではない。これはチーズです。
沼ではない。これはオニオンスープです。
炎上したステルス機ではない。これはミートパイです。
これは、まぁまぁ美味しかったよ。だって味があったから。
 


ところで、「大英博物館行った?」とか
「優雅にアフターヌーンティー飲んだ?」なんて質問は受け付けないだよ。
だって8日間滞在したけど、ロンドンは上空を通り過ぎただけ。
朝から晩まで食事を食べる時間も惜しんで、
庭園やら植物園の中を、文字通り、駆け回って植物を見ていただけ。だから。

それでも満足なの。だって私は仙人掌だから。

2015年6月14日日曜日

ほたる

ある人から、佐礼谷のホタルマップというのをもらった。中山町に佐礼谷という地区があり、蛍の名所だという。
かっこいいだろう?!
なかなかの上質紙がおごってある。
イラストが楽しい。
最近は、東京都心の渋谷の街の真ん中でも見られるとかで、もちろん都会人でもないライネケとネコパコは、蛍とか別に珍しくもないんだが、まあ、はなしのたねに、一度見に行ってみるか、という6月13日、土曜日の暮れなずむころ、物好きに出かけた。

佐礼谷は、松前町のお隣りの伊予市に属する中山町の一部だ。伊予市市街より56号線を南下すると犬寄峠を越えたところを左に、山の中に入っていく。

スイートスポットが10箇所ほど
うっかりヤブに踏み込むとマムシがいるんだと。
へそまがりのライネケは、最後の10番から逆に回ることにした。
どうやら、川沿いに見所があるらしい。あたりまえだ。ホタルは川で生まれ、カワニナやらを食べて成長するんだもの。

最初は薄暮だったが、そうこうするうちに日が暮れ、とっぷりと暗闇に。その中を、車の中でルームランプをつけ、マップを片手にホタルの見所を探す。

とある橋の上で目をこらせば、川べりに小さな光を見つける。と思えば、あっ、あそこにも、ほら、そこにも。

写真を撮っても、もちろん、真っ黒だ。特殊なレンズでなければ、こういう写真は撮れない。分かっているのに、カメラを向けたくなるものなんだね。各スポットにはこんな、反射板付きの標識が立っている。

周りの真っ黒なのは
別に細工をしたわけでなく
暗闇でシャッターを切ると
こういう画像になるんだ
ちょっとシュール
自治会の人たちは、村おこしのために一生懸命工夫してるんだろう。それは分かるが、暗闇の中、これくらいでは無理。でも、ありがとう。

8箇所くらいの見所を見て回った。

山側の流れに沿って、急に光点が現れると、それに呼応するように、わずかに遅れて、光点が、二つ、三つと灯り、消える。あちらで、こちらで、川の下流から、上流に向かって、光点の小集団が移動していく。

ずいぶん、たくさん見えるもんだ。不思議だ。あやしく、きれいだ。8時半ころが、一番たくさん見えるんだという。気がつくと、いつの間にか、そんな時間になっている。

よくみると、意外に近くにもいたり、川からずいぶん離れた木立の間や、空高く舞い上がるのもある。湧きおこるように光る。

山あいのまっ暗闇のなかで、くろぐろとした山に囲まれて空が濃い群青色に見える。その中を、高いところを、光点が灯り、消えて行く。

「あくがれ出(いづ)る たまかとぞ 見る」

どうせ大したことないんだろうけど、暇つぶしに行ってみるかと、軽い気持ちで出かけたのだった。ネコパコと二人、まっ暗闇のなか、数十分をさまよい、立ち尽くした。お互い何を見てるのか知らないまま、何を考え、どんな気持ちでいるのか、分からないままに、時が過ぎて行った。私たちは、ほんのつかの間、出会い、ともり、そして離れ離れになり、消えるのだ。



「じゅうみんじち せいねんぶ」の皆さん、来てみてよかったですよ。いろいろ感じ、考えさせられました。重ねてありがとう。

これは、単なる功利的な村おこしのための作業でなくて、多分、人々というものの心の優しさの表出なのだろう。もののあわれ? そういうものなのかもしれない。

2015年5月26日火曜日

某月某日の日曜日、お気楽二人は  <ライネケ>

三津浜に行った。

ネコパコが、当日の朝刊を見ていたら、海上自衛艦の「はくりゅう」という潜水艦が来ているっていうので、三津浜港に行くことにしたんだ。三津浜港には、海上保安庁の巡視船や自衛艦が時々やってきて、中を見せてくれることもある。

三津浜は古い漁港で、松山市の一部になっている。松山にとって瀬戸内海に通じる道として、漁業と商業で栄えた古い街だ。500年以上前の応仁年間に河野氏が支配して以来、三津の朝市という伊予を代表する魚市場が栄え、1980年代、松山中央卸市場魚市場に代わられるまで、愛媛県の海産物集積の中心だった。今も、魚市場があり、松山の魚屋さんが買い付けにやってくる。


漁港の入口は、細い入江になっていて、湾の向かいの山の中腹に神社があり、ずっと三津浜を守っていてくれるようなのだ。数10mほど向こうの対岸まで無料の渡し船が渡してくれる。ちょうど、昼なので、渡し船に乗せてもらって、あの神社のあたりに行って、港の大型スーパーで買った弁当を食べようではないか。


中央に見える出発側の船着場に停泊している、小屋のような操舵室の付いた船が渡し船だ。向こう岸にいる場合、岸壁にあるベルを鳴らすと、機嫌よく、すぐやってきてくれる。乗り込むと、回頭して、ほんの数分で向岸にすぐ着く。


神社の階段を上がって、手を合わせる。
日差しが強くて、神社で昼食っていうのも、神様に悪いかな。
どこか適当なところを求めて、この神社の裏側に回ってみよう。


裏山を下ると、小さな造船所があった。造船所の人たちも昼休みらしく、休憩していたので、挨拶して、朽ちた船の下で食事するのを許してもらった。


プロペラの向こうに港が見える。初夏の瀬戸内の波が穏やかだ。


さっき、港のスーパーで買った握り寿司のパック(498円)とジャンボいなり寿司(98円)。さすがに、魚市場だ。安いし、おいしそうだよ。


ジャンボいなり寿司は、半分こだ。いただきまあす。パクリ。
左端の大きな屋根のあたりが、出発側の船着場のある辺り。


造船所の人に礼を言い、また、神社の階段を下って、船着場に行く。左上の辺りに、渡し船が見える。結構、利用者がいるみたいだ。さっさと出港して行く。


向こうに人を渡した船が、ベルを押すまでもなく、こちらに向かって引き返してくる。


ネコパコが乗り込む。


この座席シートは、何かあったときに、ライフジャケットになるように、輪っかが二つ付いている。なるほどね。これはいいかもしれないな。


もうすぐ、出発点に着く。向こう岸でも、お客さんがカメラをこちらに向けている。みんな、似たようなことを考えるもんだ。

みんな、楽しく日を送っているかしらん。
元気でいてください。

いいお天気だ。もうすぐ梅雨が来て、やがて暑い夏がやってくる。

(ところで、「はくりゅう」は、自衛隊に入隊志願者を対象に艦内見学が許されているらしく、遠くから、黒い船体を見ただけだった。旭日旗が勇ましかった。これから日本はどうなるのだろうな。)

2015年5月22日金曜日

扇風機到来  仙人掌姉者

シャープが経営難だって話で、
日本が誇る物作り文化はどうなるんだって思う訳ですよ。
それでもまぁ、住んでて快適な国ですし、応援したいじゃないですか。
だから買ったよ。扇風機をさ。

60年前の三洋電機の製品ですけどなにか?

思い起こせば、約1*前に仙人掌姉は京の都に住んでまして、
京の都って死ぬほど暑いのね。そんな時、友人が訪ねてきたんです。
んで、姉の部屋が屋外にも増して暑いわけです。
灼熱地獄ですよ。
でも、姉は金欠だから、クーラーを頑なに稼働させようとしないのです。
今日のお客様より明日の財布事情です。
そんな姉の部屋に滞在して、去って行った友人から
後日連名でお荷物が届きまして、開けてみたらば扇風機だったのです。
よっぽど、つらかったんだろうね。



その時の扇風機は、現代物だからプラスチック製で
タイマーやら風量調節が付いとりました。
仙人掌姉は、その扇風機に「めっさーシュミット」って名前を付けて
仲良く暮らしました。
京の都から東の都へ引っ越した時にも、もちろん連れていきました。
でも、数年間働かせているうちに、風量調節のダイヤルがねじ切れたり、
スイッチが接続不良になったりで、満身創痍になったので、
お前はもう十分働いたよと、感謝してヴァルハラへ旅立たせたのです。

それから数年、姉の部屋には扇風機不在のまま、過酷な灼熱戦線を
乗り越え生き残ってきた訳ですが、
先日、職場の近所の古道具屋を何の気無しに覗いたら、
この扇風機がちんまり居った訳ですね。

仙人掌姉は、素早く店に滑り込み、
老体の扇風機を右から左から下から上から舐めるように撫でまわした後、
店員さんに「これスイッチ入れてもらえます?」と頼み込み、
試運転してもらいました。

扇風機は、鉄の羽根をゆっくりと回転させ始め
やがて力強いフィーーーーンという音と共に風を作りました。
いやー、回転する羽根はなんでもさ、鉄製にかぎるよね。
何か邪魔が入ったら、「危ないからやめてねー」なんて生ぬるい事は言わずに
「指でもなんでも叩き切ってやるわ」って意気込みが感じられるからね。
仙人掌姉は、「よし、これならイケる」と判断し、懐から財布を取り出したのでした。


そんな訳で、仙人掌姉は今年の夏、この扇風機と共に灼熱前線を戦おうと思うのです。
名前は何にしようかね。
ちょっと古さのおかげでモーターが心配だから、雷電って名前にしようかね。
でも、我が家の無機物メンテナンス部のガマ男君が
「モータなんてさくっと取り替えてやるよ」って心強い事を言ってくれたので
安心して使えます。

そんな仙人掌姉のお買い物でした。
これから部屋に来た人は扇風機まわしてもらえるから、
夏でも安心して遊びに来てね。
姉者の気に障る事言ったら、指飛ばされるかもしれないけどね。

2015年5月9日土曜日

ライネケの冒険 海からの贈り物3 <ライネケ>

5月2日、外来が終わって、ただちに海に飛び出した。今年はじめて、アクアミューズを海に浮かべるのだ。あまり風が吹いているとはいえないのだが、グズグズしていると、夕凪に掛かってしまう。舟はすでにメルセデスの上に積んであり、窮屈で息苦しいのだが、Haruno君の置いて行った半袖・半ズボン型のウェットスーツを着る。

浜に着くと、風は2mくらいで、引き潮だ。重信河口に近いあたりでは大勢が潮干狩りをしている。日差しは強く、波打ち際で艤装していると、背中が暑くなる。

昨年11月以来なので、勘が戻るまでに少し時間がかかるが、30分くらいかかって、ようやく出艇した頃までは、まだ少し風があった。しかし、やがて風が弱くなり、北向きの潮の流れのために、なかなか思うように操船出来ない。今回は今年度の初日なのだから、早いけど、そろそろおしまいにしようかな、と思いながら、沖合を漂っていると、潮間に何かが見えた気がした。舟を回して、近づいてみる。

魚だ。

黒っぽく、銀色に光っている。腹を横にして、波間に漂っている。舟を寄せて、持ち上げようとするが、片手では無理だ。弱っていながらも、身をよじらせて、すくい上げた手からまた海にもどる。かなりの大型だ。このまま見捨てるのはもったいない。

パドルを取り出して、なんとか漕ぎ寄せて、やっと取り込むのに成功したが、バケツ替わりになるものがない。あわてて、渚に戻って、ネコパコに携帯電話を掛けて、バケツを持ってきて欲しいと頼む。

ネコパコもライネケの思わぬ拾い物に、びっくりしている。少しでも生きているうちに、急いで血抜きしなければならないのだが、すでにエラブタが動いていないみたいだ。



長さ45cm
黒鯛 いわゆる「チヌ」



ネコパコがハラワタを抜いて
エラを外したところ

興味津々のゴロっち
ネコパコには面倒をかけるけど、



思いがけず
鯛づくしの夕食になりました


やっぱり
まずは刺身で


タイの揚げ物のみぞれ和えみたいの
その他に
塩焼きやら何やらも

ゴロっちも
おこぼれにあづかったかな?


水から上げたときは、すでに死んでいたようで、ネコパコは慣れぬ血抜きをしてみたが、うまく行かなかったそうだ。だから、おそるおそる食べてみたのだが、意外にと言うべきか、なんと言うべきか、なかなか美味しかった。チヌは通常のタイに比べて、癖があるというけれど、それほどのこともなく、やっぱりタイはタイらしく豪華な夕食を食べられたのは、ネコパコのおかげというべきだろう。

調べてみると、塩屋の浜は、チヌが釣れるということで、釣り人の間では結構な人気スポットらしいのだった。そう言えば、波打ち際やら、テトラポッドの積んだ突堤で、何人か竿を出している人たちがいた。45cmのチヌを拾ったと言えば、彼らはどんな顔をするだろう。

実は、この塩屋の浜で、こんな拾い物をしたのは二度目なのだ。
5年前、2010年6月8日にも、アクアミューズで遊んだあと、夕暮れの渚で艤装をはずして、帰り支度をしていたとき、長さ35cmのチヌが波打ち際に浮かんでいるのを見つけて、持って帰ったことがある。

なんでも、ためらわず拾って帰る、というのは、おいらの特技かもな。
それにしても、今回のはずいぶん大きかった。