自慢じゃないが、ライネケは、自分は一人遊びの天才なんじゃないか、と時々、思う。
いつでも、どんな時でも、遊びを見つけられる。
進歩も発展もなく、別に何か役に立つことをしているわけではない。
でも、同じことを延々と繰り返していて飽きない。
馬鹿じゃないか?と自分でも思う。
今日もまたやってる。
例のスーパーカブC65なんだが、やっと仕上がって、好調に走るようになった、と思ったのに、高速域で、エンジンからなにやら打音が聞こえるようになった。やがて、その音はアイドリングの時までするようになり、とうとう、アイドリングが続かなくなったので、エンジンを下ろした。
下ろしたエンジンを、バラバラにしてみた。
頼りにするのはパーツリストと分解するときの記憶だけ。
異音の原因はなんだ?
クランクシャフトの中央にベアリングを介して、つながったコネクティングロッド(コンロッドーその反対端にはピストンが付く。)
そのベアリングが破壊されて、ガタが出ていたのだった。
このエンジンを復活させようとすると、油圧で組み立てられたクランクシャフトを分解して、コンロッドを外し、新しいベアリングを入れて、また圧入して、組み立て直さねばならない。内燃機屋さんに依頼することになる。
それで、スペアのエンジンを某オークションで手に入れた。
ただし、そのスペアエンジンも、分解して、手を入れて、再度組み直さなければならなかった。
エンジンが何とかなったと思ったら、次は、スピードメーターが壊れて、針が動かなくなった。これまた、オークションで手に入れるとなると数千円かかる。
前輪の車軸から、ギアを介して取り出された回転が、メーターの下から入って、磁石になったドラムをぐるぐる回すと、磁力によって、その中に容れられた回転子が回る。その軸と同軸のゼンマイバネの抵抗力と回転力が釣り合うところで、メーターの針が速度を指示するわけだ。絶妙のバランス、と言いたいところだが、いい加減なもんだ。
このゼンマイバネが切れていた。そいつをハンダ付けで接合復活した。
メーターの修理中、力を入れすぎて、メーターのカバーガラスを割ってしまった。最近、ますますうかつになってきているのを自覚する。情けないけどしょうがない。
こういう場合は、普通、アクリル板を買ってきて、整形して代用するのだが・・・。
あくまでガラス板にこだわるライネケは、町内のガラス屋さんを捜して行って、作ってもらった。千円でやってくれた。やっぱりガラスは透明感が違う。満足だ。
復活したスピードメーター。
C65をワーゲン屋のOさんの工場に持込み、実測して、規定内であることを確認した。
距離積算計を見ると、うちに来てから、このC65は800キロほど走ったわけだ。
今後、メーターの分解はできそうな気がする。
スペアエンジンに積み替えて、公道復帰したC65なんだが、まだ不具合がある。
メインスイッチの接触不良。
キック一発で始動しない。
エンジン換装前は、最高80キロ以上出ていたのに、65キロ前後でガス切れ状態になって、伸びない。
中速域での振動が大きい。
キャブレターからのガソリン漏れ。
など。
まだまだ、不完全だ。それに、オリジナルのエンジンもコンロッドのベアリングを交換して、復活させられないかな。
小学生の頃、毎日、毎日、ゴム巻き飛行機を作っていて、ライネケの母親に怒られた。
「もう、飽きもせず、いっつも、いっつも同じことばかりやっていて、ちっとも進歩がないじゃないの。一体、何機作ったら気が済むの?!」
「三つ子の魂百まで」というべきか、「雀百まで踊り忘れず」というべきか。
「栴檀は双葉より芳し」ではないな。