<ライネケ院長>
ここは、かつては、知る人ぞ知るって感じだった高知県の「大岐の浜」だ。
足摺岬の根っこの愛媛寄りは土佐清水の町だが、足摺岬をはさんで、その反対側の高知・中村側の根っこにある長さ1kmほどの浜だ。ずっと右手には足摺岬が太平洋に突き出した行く風景だ。
私たちの最初の子どもChicaが生まれた27年前、360ccのちっぽけな車を買って、滋賀県の瀬田を出発して四国を一周した。瀬田、西宮、淡路島、鳴門、徳島以来、何度も四国を回るうちに、太平洋側の海辺が気に入った。最初のうちは、国民宿舎とか民宿とかに泊まってたけど、そのうち、適当な気に入ったところに野宿するようになった。
いわゆるキャンプサイトとかいうところは嫌いなのだ。行って見たら、売店まであって、人が沢山いて、薪や炭まで売っている。テントとテントの間が狭くて、隣と握手出来そう。こんなとこまで来て、ゴルフのクラブを振り回したり、発電機を回して、テレビを見たり。Be-Palから出て来たみたいな装備を並べたり、キャンピングカーの自慢大会をやってたり。馬鹿みたいじゃないか。
きれいで、静かで、安全そうで、水があって、というところであれば、とにかく、テントを張って一晩寝てみる、というのがいい。周りに人がいないのが一番いい。今まで、徳島県の小松島の海辺や海部や高知県の中村を過ぎて、クジラ見物で有名な入方町の浮津にも泊まってみたが、何といっても、一番良かったのは大岐だ。
砂がきれいで、国道321号沿いの何でもない茶店の横を、ひょっと降りると、なんと、湾を囲むように素晴らしい浜辺が広がっている。背後を分厚い防風林が阻んでいるために、うっかり寄ってみようとは思わないんだね。
それで、20数年前から、五月の連休、夏休み、年末の休みには、一日目、滋賀あるいは倉敷を出発して、ぐるっと徳島から室戸岬を回って、その夜は、今はなき国民宿舎「土佐」で一泊した後、二日目の昼、大岐に着いて、テントを張って一泊、三日目には松前を回って、その後また、本州に帰る、というパターンを繰り返して来た。
我ながら、飽きもせず繰り返したものだ、と思うよ。子ども達も、狭い車の中で文句も言わず、よく我慢したものだね。20周、20泊ではきかないと思うね。haruno君が大学受験のときも、かまわず、回ったものな。まあ、彼が高知医大に行ったのも、こういう縁があったからかな。
いろんなことがあったね。あんなこともあった、こんなこともあったって、いつか思い出す日が来るに違いない。
色々な人と出会ったっけ。島根だか山口だかの英会話学校の教師をやってる連中で、英米豪各国の連中といっしょにキャンプしたこともあったね。
大岐は、中国近畿まで有名で、外国人まで知っていた。サーフィン仲間が教えあうらしい。
夜は必ず、流木を集めて焚き火をした。火を見ながら、黙っていろいろなことを考える。夜が更けて、子ども達はテントに入って寝付いてしまったようだ。私一人、拾い集めた木や竹を差し入れて、火が絶えないように、明日の朝には白い灰になるまで完全に燃え尽きるように、見張っていた。いつかは、こんな時もあんな日々も過ぎ去ってしまうだろう。
暗い海辺を波打ち際に沿って歩いていくと、見上げれば、月があり、私たちの焚き火がいかにも小さく見える。月が傾くほどに、私はどこに帰っていくんだろう。分からない。いつしか永遠の闇が広がって、波の音がどこか遥か遠くに聞こえる。それとも、あれは、海の底の石ころが潮に転がる音かしら。石が転がり、月が転がり、私も斜面にそって、転がっていく。
6 件のコメント:
<ネコパコ>
ワア〜オ!!
哀しすぎてコメントしたくないね
でもshigeの学校の友人のお父様は実は大岐の御出身なのね…そいでその奥様つまりお母様とは今までも大岐の話で盛り上がっていたのです
夏はキャンパーで結構にぎわうとは聞いていましたが、いよいよキャンプシーズン以外でもここに泊まることに味をしめた人達が増えて来たということですね
人の足跡だらけの砂浜なんて幻滅ですよ
が、が、が、がっかり…
みんな離岸流に流されてしまえばいいのだ。
そんでウニとハマグリの餌になるの。
あとハコフグも喜ぶだろうね。
鯨も潮吹いて感謝するでしょう。
Haruがいるうちに高知を自転車で旅行しよう…
そろそろ冬眠のGeko
<ライネケ>
まあ、我々にとって素晴らしければ、他の誰かにとってもいいところな訳で、アクセスが良くなれば、人が来るのはしょうがないんだろうけどね。
あの浜は、「巻き出し」って言って、岸近くで潮が巻いていて、海中に引っ張り込まれて、沖に連れて行かれるという流れがあるそうで、毎年何人か死んでるそうだ。浜辺の防風林近くの看板にそう書いてある。
サーファー連中にはよく分かってるんだろうな。
ところで、コメントの最初か終わりに誰の書き込みか分かるように適当なハンドルネームを入れといてね。
うーん
何ともいいようがないね・・・・・
確かにいい波が入るし奇麗な所だから、サーファーがくるのはしょうがないとは思うけれど・・・・
マナーというか自然の楽しみ方を分かってない人が”アウトドア”すると悲しい結果になるような気がするよ。
自分では家から出たつもりなんだろうけど、家にいるときの気分や便利さ快適さなんかを引き連れてきて、結局のところ自然と直接触れてないというか・・・
なんと言うか、遊び場の一つとしてしかその場所を捉えられてないとでもいうべきなのかなぁ。
だから、自然そのままでおいておけずにオートキャンプ場みたいなものができたり、大岐の浜みたいに便利に、もっと便利にという流れになっていくんだろう。
ほんとにその場所を好きなら、そのままにしておくのが一番いいんだなんて言う考え方は少数派なんだろうか・・・
Haruno
雪降った!雪降った!!!
寒い!寒い!寒い!
灯油高い!高い!
しむしむ!
というわけで冬眠します。GAMA
P.S;白衣で試験管と捕虫網を持って浜をうろつき、サーファーたちに、「ここは○×△菌がいるので野宿は控えてください。裸でいるのも危ないですよ」などと言って廻るといいかもしれんです。腕章に「日本衛生学会」とか書いて。ただし精神衛生の衛生ね。
<ライネケ>
こら、こら。
まだ、冬眠の時期じゃないじゃろうが。
君は半年分の研究生料を払ってるんじゃから、研究しなさい。
風邪なぞ引かんように、気合いを入れるのはいいが、馬鹿みたいに走り回ってばかりだと、natural killer cellといって、体を守ってくれる白血球が減ってしまうから、気をつけて、頭を使って暮らしなさい。
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