空間的にも、思慮においても、がま少年の視野が恐らく縦横10メートル程度も
無かったかと思われる幼き日の記憶である。
がま少年は一つ上のハル之兄(今も昔も腹黒である)とともに、
猫箱母に連れられて京都府動物園に行ったことがある。
猫箱母に連れられて京都府動物園に行ったことがある。
その頃はまだ棘もやはらかであったさぼてん姉者、今も昔もハラグロ!な
ハル之兄、そして紅顔純真ながま少年の3児を抱える若き猫箱母としては、
少年達が世界中の珍しき動物達を見て無邪気に楽しんでくれる
ことを期待したはずである。
ハル之兄、そして紅顔純真ながま少年の3児を抱える若き猫箱母としては、
少年達が世界中の珍しき動物達を見て無邪気に楽しんでくれる
ことを期待したはずである。
しかし檻の中の動物達を一通り眺めて満足した少年達は、呆れたことに、
あっさり飽きてしまった。
あっさり飽きてしまった。
少年達は檻の中で面倒くさそうに薄眼をする猛獣にはさして
興味を惹かれなかったのだろう。
興味を惹かれなかったのだろう。
そして、ここを境に途中の記憶は曖昧であるが、けしからん少年達は猫箱母を
園内に残して門から遁走したのであった。
園内に残して門から遁走したのであった。
忽然と姿をくらました少年達を捜して半べそをかいた猫箱母が、動物園の傍を
流れる琵琶湖疏水の橋の袂で、一心に鯉やオオクチバスを凝視する二人を
発見したのは小一時間経った頃であったろうか。
流れる琵琶湖疏水の橋の袂で、一心に鯉やオオクチバスを凝視する二人を
発見したのは小一時間経った頃であったろうか。
怒り心頭に達しながらも精一杯の寛容を以て少年達に遁走の理由を問うた
猫箱母であったが、あろうことか、がま少年の、
「動物園、あんま面白くなかったョ」 の言を前に、遂に鉄拳を振るうこととなったーー
猫箱母であったが、あろうことか、がま少年の、
「動物園、あんま面白くなかったョ」 の言を前に、遂に鉄拳を振るうこととなったーー
さてこのような回想を突如克明に記述するのは、去る成人の日の月曜日、
がま(今や三十路)がたまたま京都に足を運ぶ機会があり、偶然にも件の
琵琶湖疏水にさしかかり、25年もの歳月を経てかの原風景との邂逅を果たして
しまったがためである。
琵琶湖疏水にさしかかり、25年もの歳月を経てかの原風景との邂逅を果たして
しまったがためである。
向かって右が琵琶湖疏水記念館、左が京都府動物園である。
遠くでは呆けたように川鵜が翼を干している。
川砂の補充を行っている。左が動物園。
右のスロープを下って、少年達は大魚を夢見たのではなかったか。
狭かった視野は、空間的には多少の広がりを見せたものの、
思慮においてはさして広がりはしなかった。
時々の興味関心の赴くまま、勝手に動く性癖は今も昔も変わらない。
ただ、昔よりも無邪気ではいられなくなったことを寂しく思う。
がま
*************************予告*************************
次回、三十路のがまが京都の街を漫ろ歩くの回。
テーマは京ラーメンと昭和の銭湯。
京都に縁あるものはあまりの懐かしさに涙するであろう!
次回があると思わせておいて、無かったりすることもあるので注意。