9月も後半になって、ライネケのおっかさんの米寿を祝うことになった。ネコパコが随分前から、計画してくれ、準備し、やり遂げてくれたことに感謝する。
10人前のお膳立て ネコパコさん、ありがとう |
彼女の人生をずっと見て来たわけではない他人の目には、彼女が、ちょっと変わっていて、妙な生活パターンの持ち主であるように見え、場合によっては、笑いの種になりうる、ということは、理解出来る。誰もが、お互いに無縁の衆生なんだ。
しかし、ライネケは、この人から多くを学んだ。むしろ、今になって、さらに、尊敬の気持ちが深まったことを感じる。別段、何か世に現れるような名誉や地位を得たわけでもなく、夫と家庭に尽すことで、一生を送って来たように見える。それでも、この人には、何か人並み以上のものがある、と思える。このような人を親に持てたことに感謝する。
彼女の話には、辟易するようなこともあるが、ふとした機会に、彼女が語り出す話に、巧まざる妙味と興趣を認め、果断な行動力に驚かされ、また、救われる思いをしたことが何度かある。
彼女がどういうつもりで、そのような話をしはじめたのか、息子のライネケに、教訓として言い聞かせるためなのか、それとも単なる思い出話だったのか、分からない。親子の不思議で、微妙な関係としか言いようがないのだが、彼女が、母親として、不思議な教育者的行動を示したことは間違いない。どの親子もそういうものなのかどうか、ライネケには分からない。とにかく、ライネケは、その時の彼女の話、行動に、深い教えを見た。
どんな話だったのか、どういう行動だったのか、話しても、その真意は、おそらく、他人には分かるまい。だから、二人の間だけのやりとりとして、心に秘めておこう。
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翌日曜日、塩屋の浜まで、車で5分。バーベキューをするんだと、皆で、20年近く眠っていたMossのタープを引っ張り出して、車に積み込んでいる。
ライネケは、ややお疲れ気味で、あまり元気がなかったんだが、Haruno君の嫁御寮の「ヨット、乗ってみたいなあ」の一言で、気力を奮い起こして、アクアミューズをカートップして、出かけた。浜辺に立つと、思いのほかにいい風が吹き出した。不思議やなあ。おいらが浜にでると、きまって風は凪いじゃうのに・・・。
塩屋の浜を帆走中のHaruno君夫妻 前にヨット部経験者のHaruno君が乗って 後ろで舵を握っているのは、彼のご新造さん |
上空をとんびが舞う お前はいいなあ |
波が打ち寄せ、 砂が濡れ、波紋が残り、 また乾いて、 また、元どおりになる。 |
翌日、彼らは、言い出しっぺも、気乗りのしない人も、二台の車に分乗して、滑床渓谷に行き、川滑りをして、民宿で一泊したあと、さらに足をのばして、四万十の上流を目指した。ライネケは、仕事でホームアローン。
四万十川上流の「とおわ」のあたり まだ、Haruno君もGama君も小さかった頃、 四万十の上流を泳いで渡ったことがあった 考えてみれば、危険だったね |
Haruno君の腰にのぞいているのは 例の草間弥生デザインのパンツ ちゃんと穿いている所が、 Chica仙人掌(さぼてん)おねいさんの威力なのかね |
いつしか、あんなこと、こんなことあったっけ、と思い出される日が来るのだろう。
何も出来ないうちに、何も分からないうちに、時がたち、日が暮れ、年月は過ぎ去って、人生が終わるのだろう。結局、よく分からないまま、というのも、冥(くら)いとしか言いようがないのだが、考えてみれば、全てがそうなのだろう。