4月8日日曜日。
宇和島の桜は一週間前に満開だったと言う。先週は、西の海に遊んだので、今週は、東方向の山に桜を探しに行こう。
というわけで、今回は、ライネケとネコパコは、奥道後方面を目指した。とにかく、ちょっと道に近くて、桜が目立つ程の所には、沢山の車が駐車して、人出が多い。
桜という植物は、妙に人間に似たところがあるね。
沢山群れをなすように咲いて、華々しく、にぎやかにやっているのがあるかと思うと、どこかの山の中で、ひっそり、花を咲かせているのもある。
宴会が好きな連中がいるかと思えば、一人だけ家にこもって自分の好きなことをごそごそやっている人もいるみたいに。
石手川ダムの向こう側の誰も寄り付かない所に咲いている桜を見つけて、その近くで、昼食をとった。
桜は、こちらでは、まだ七分咲きという所かな。
その後、鈍川温泉の横を東に抜けて、11号線に抜けることにしたのだが、途中で見かけた看板につい魔が差した。
いつものことなんだけどねえ。
「千疋の桜」?
これは見過ごせないね、と思ったわけだが、
行けども行けども、立派な桜らしきものは見えて来ず、
峠の頂上には、妙な石碑があっただけ。
何だったんだろうね、あれは。
途中の山道で、見つけた苔の集落が美しかった。
人はどうして緑に惹かれるのか。
フカフカの塊に思わず手を伸ばしてみる。触られたくないだろうね、彼、いや、彼らは。
苔にも、心があるのだろうか。
山を下り、17時半ころになって、本谷温泉に立ち寄った。
本谷祭りとかで、温泉の前を流れる渓流の対岸の公園で、桜祭りをやっていた。
カラオケ大会の終盤らしく、大音響で演歌が、夕暮れの谷間に響いていた。
ライネケには理解出来ん趣味や。
「丸万」で魚の夕食をすませて、帰ってきたら、車庫の前にどこからともなくロナが現れて、一緒にうちに入った。どうやら、彼にはうちの車の音が分かるらしい。
帰ってから調べてみたが、「千疋の桜」というのは、南北朝の頃、某天皇があの辺りに隠れ住まいなさったそうなのだが、その頃からその辺りは桜の名所であったそうな。で、頂上の石碑は、吉井勇が当地に遊んだ時歌を残したのを記念して昭和11年に建てられたものだった。今ではすっかり寂びれて桜も枯れていたが、昨年春、村おこしの一環として呼びかけて、桜をたくさん植樹して、桜の名所にしたいというので、看板を立てたものらしい。
残念ながら、植樹した桜は、今年はまだ全然、咲いていなかったというわけだ。本当にきれいになるのは5年後かな。希望的観測だけど