幼い頃は、いつも早足だった。
下校中の私を見た人が
「まるでインディアンの娘みたいに歩いてた」と
不思議な事を言ったのを覚えている。
言った人は覚えてる?
就職した1年目に、運動量に筋肉量が追いつかず
酷い腰痛になった。
もともと姿勢が良くない。その上バランス感覚とリズム感が無い。
酷い猫背と内股である。
現職に変わっても腰痛は治らず、体の不調がまず腰に出るようになった。
色々、検討した結果、
清水の舞台から飛び降りる気持ちで一足の靴を買った。
一足、約3万円。
MBTというメーカーの靴である。
ライネケ氏から、この靴について紹介してほしいという要望が
あったため、本日はchicaの靴事情について。
長文失礼おば。
タイトルはブルース チャトウィンという作家の言葉です。
アフリカのマサイ族の人々の裸足の足からヒントを得て開発されたらしい。
船底のような靴底が特徴である。
べた足で、平らな地面を進むというより
常に、つま先から踵にかけてローリングしながら進んでいる感覚になる。
青竹の上に立って、つま先から降り、土踏まずから蹴りだして進む感じ。
踵の赤い部分に柔らかいスポンジのような素材が内蔵されており
歩くと柔らかい土の上を歩いているように感じる。
足を垂直におろした時の衝撃を、全てスポンジが吸収したような気がする。
この靴は、アスファルトやコンクリートを歩く人の為の靴なので注意。
土の上や、小石の上、砂の上、登山には向いていないが
都会の中で歩く人には向いている。
船底のような形なので、
常に姿勢をまっすぐ保っていないと立てない。
また歩き出すと、自然に足を踏み出す形になるので
ベタ足で地面を踏む必要がなくなる。
足の裏全体で着地、蹴り出しをする必要がないので膝までの負担が
少ないように感じる。
足の指が開き、しっかり踏みしめて歩く癖が付く。
そのかわり、腰を落とす姿勢になると、不安定になるので注意。
しゃがんだ時、前のめりになったり後ろへ尻餅をつきそうになることがある。
また普段、サンダルや雪駄などですり足で歩くのに慣れた人も注意。
土踏まずの部分しか着地していないような感覚になるのでバランスを崩しやすい。
膝をあげ、お尻の付け根や太ももを持ち上げるような気持ちで歩くことが必要。
実際、履き始めは筋肉痛になる。
履いて1年になる。
立ち姿勢と歩く姿勢が格段に改善された。
お尻があがりお腹が凹むので、
良くないプロポーションがさらに悪くなる事は無い。
腰痛も改善した。
1週間に1回は痛みを感じていたのが、
3ヶ月に1回程の割合に減った。
長時間、歩くのが楽になった。
1日中歩くと流石に疲れるが、足が痛くて歩けなくなる事が減った。
始めはスニーカータイプのものを購入したが
この靴なら履いていられることが分かったため
恥も外聞も捨てて、パンプスタイプも購入。
マサイ族に魂を売ったといっても良いかもしれない。
決して安い買い物ではないが、
自分の歩く姿勢に悩む方には、一度店頭で試着することをお勧めする。
絶対に、安さにかまけてネット販売などで購入しないこと。
サイズが非常に細かく分かれており、
靴のタイプや足の特徴によって履けるタイプが違うので
販売員にしっかり説明を受ける必要がある。
ってな事で、靴は自分の足にあったものを履いた方がいいよと。
間違っても、魔女みたいなトンガリ靴は足に良くない。
そして私は、今日も早足で闊歩する。
風強ければ
神様は
靴の踵に
住みたまう。
平野威馬雄(フランス文学者だよ)