幼い頃からずっと早く居なくなりたいと思っていた。
頭の中に嵐がふくと、目に映る全てのものがそして自分が
気持ち悪くて、怖くて、腹立たしくて、悲しくて
早く居なくなりたいと思った。
押入れの布団に顔をうずめて、吐き気と涙を呑んだ。
小学5年生のとき図書館の一角で堀口大學の詩に出会った。
小學生
先生 植物学はうそですね
花もやはり笑うのです
梅が一輪咲きました
嘘だと思った。
こんなに私は苦しいのに、悲しいのに。
それから時が過ぎた。
家を出る年齢が近づいた頃、父は私に何度も言った。
これからの人生に楽しいことなど何一つ無い。暗く苦しく寂しいだけだと。
酷い事を言うと思いながら、納得している自分がいた。
答えではない答えだと思った。
それから時が過ぎた。
くしくも植物と向き合う職についた。
それから時が過ぎた。
くしくも植物と向き合う職についた。
植物の声は聴こえない。
悲しくても、苦しくても、怖くても、
それでも生きていかなければならないことだけは学んだ。
それでも生きていかなければならないことだけは学んだ。
今朝、今まで一度も花を見せなかった植物に蕾を見つけた。
いつ居なくなれるのかなと思う。
でも今じゃないことは知っている。
chica