2008年9月18日木曜日

誕生日おめでとうー2 <ライネケ院長>


うちの駐車場の端に埋めた生ゴミから、カボチャのつるが伸びて来た。野生の生命の輝きを見よ。うどん粉病をものともせず、次々と新しい葉が出て、どこまでも伸び広がって行く。黄色い花を咲かせ、頼んでもいないのに実をつける。

まるで、これは、Soraちゃんだな。


9月19日
Soraちゃんの誕生日、おめでとう


生まれて、一週間ほどは静かな子で、高周波音で泣くHarunoで本当に疲れ切ったネコパコ母さんとライネケ父さんは、こりゃ、楽そうだ、と思ったもんだ。

ところが、その後、地獄が始まった。とにかく、グジグジうるさかったんだよ。ずうーっと、一年以上も。夜中でも「水が飲みたい」、「おなかが減った」、旅行中の車の中でも5分おきに、「今、どこ?」「あと、どのくらい?」「ここ、どこ?」
一体、何度、車の窓から投げ出してやろうか、と思った事か。

淡路フェリーに乗って。
うしろは、ChicaさんとHaruno君。

1987年5月の連休、滋賀から名神、阪神高速を乗り継いで、明石から淡路島に渡る所。このあどけなさがSoraちゃんの魅力だった。いつもよだれを垂らしてた。

正直言って、ライネケ父さんは、君が、ネコパコ母さんのおなかの中にいた時、てっきり、女の子だと思っていたので、泥縄のいつもに似合わず、えらく気早く、女の子の名前を用意していた。

    この故に我なんじらに告ぐ。
    何を食らい、何を飲まんと、命の事を思い煩い、
    何を着んと体の事を思い煩うな。
    命は糧にまさり、体は衣に勝るならずや。
    の鳥を見よ。播かず、刈らず、倉に収めず。
    然るに汝らの天の父は、これを養いたまう。
            ………
    また、何ゆえ衣の事を思い煩うや。
    の百合は如何にして育つかを思え。
    労せず、紡がざるなり。
    されど、我汝らに告ぐ、
    栄華を極めたるソロモンだに、
    その装い、この花一つにもしかざりき。
    今日ありて、明日、爐に投げ入れらるる野の草をも、
    神はかく装いたまえば、まして、汝らをや。
                     
                    マタイ伝第25−31

この女の子は苦労無しに育つんだからね、神様がお守り下さるんだから、というつもりでいたのに、生まれてみたら男の子だったというわけだ。いまさら名前を考え直すなんて、できるもんか。ずっとそのつもりで、とっておきの名前を用意して待っていたんだから。というわけで、Soraちゃんの名前はそのままになったのでした。

それにしても、こんなに贅沢な名前はないと思うよ。つけた自分で言うのもなんだが、出典までさかのぼって考えれば、これほど素晴らしい名前は、そうそう、ないはずだ。生まれ落ちた後の人生で最大のプレゼントだと思ってくれたまえ。

4歳の頃、京都の北白川辺りの公園で

集団にはなじまず、群れからいつも離れていた。Soraちゃんはどこ?って、辺りを見回せば、ほら、このとおり。羊さんの上。

生意気に両手をズボンのポケットに突っ込んで
大岐の浜で太平洋を背にするSoraちゃん。

時々、しゃくにさわったり、うるさかったり、腹が立ったりもするけど、君の生命力の強さにキツネコ一家の夢を託します。

君はすでに、いろいろなことを成し遂げてきた。君には君なりの自負があるだろう。でも、君には新たな展開に向かっての離陸を期待しています。

京都北山 久多の村のキャンプ場で

あらためて、23回目の誕生日おめでとう。
きっと、大化けするのだぞ。

2008年9月9日火曜日

kiss kiss kiss chica

そこの道をまっすぐ行って
白いお花を一輪摘んだら
二つ目の角をゆっくり曲がって
郵便ポストにお手紙を入れます。
塀の上の猫を撫でて
突き当たりの海でおやつを食べたら
よく見えるように手を振るから
そこで見ていてね。
ちゃんと見ていてね。
大好きって、大きく口をぱくぱくするから
そこで見ていてね。
ちゃんと見ていてね。

土手を上って
モグラの穴を掘って
ぐねぐね道でぐるっと廻って
突き当たりの溝で
水の中きらきら光る魚の数かぞえて
昨日の事ごめんなさいって思う頃に
郵便屋さんがお手紙を届けてくれるはずだから
受け取ってね。
ちゃんと受け取ってね。
大好きって、大きく書いてあるから
受け取ってね。
ちゃんと受け取ってね。

ありがとう。
星の数よりもっと。
ありがとう。

         chica

誕生日おめでとう <ライネケ院長発>

Chica さん、誕生日おめでとう。
これがあなたの芽が出た所らしいよ。なるべく簡素な名前にしようと思って、最初の子だし、物事の本源・元素という意味で命名したんだ。時代の流行に影響されず、時が経っても飽きない名がいいと思ったんだが、どうだったかな。

いよいよ、二十?歳だね。貴女が生まれた時、いつの日か、貴女の誕生日を、こんな風に祝うなんて想像もしなかった。あの頃は、院長も事務長も若かった。地位も財産もない若い夫婦の間に生まれた最初の女の子として、貧しいながらも豊かに大切に育てようと思った。貴女は、私たちの最初のエンジェルだったんだよ。
はじめまして、明日
生後5日目くらいの貴女の笑顔。

笑顔よしのChicaちゃん、いつまでも、笑顔を失わないで。貴女が悲しい顔をすると私たちも悲しくなった。

生後5ヶ月の貴女。

お互い、それなりに長い間、生きて旅して来たんだ。貴女の先はまだまだ長い。いつの日か、貴女も同じ思いをするだろう。自分を大切に生きて下さい。